年間第22主日C年

福音=ルカ14:1,7-14


「だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる」(ルカ14:11

 

 イエスがたとえを用いて語るのは、単に分かりやすく説明するためだけではない。たとえは、神の国と現実の世界の在りよう(リアリティ)を何よりもよく示すことができるからだ。食事の席とは、いわば社会そのものである。食事の席に「貧しい人、体の不自由な人、足の不自由な人、目の見えない人を招く」(14:13)とは、「水腫を患っている人をいやす」(14:2-4)ことでもある。ルカが14:2-6のエピソードを食事の席(14:1)にはめ込んだのは、こういう意図があったからだろう。そこではイエスがこの苦渋に満ちた現実の中に神の国の侵入をいやしによって現したと言える。

 イエスは単に倫理を教えたのではない。まずいやしによって救いを人々に現した。この救いの現れの上に立って、人々に勧告の言葉を述べる。

 単なる理想は一笑に付されるか、より酷い絶望に陥らせるだけである。単なる倫理主義は人々を息苦しくさせるだけである。聖書を通して神が何を語ろうとしておられるかを注意深く聞き取ること、このことが私たちに現実に立脚した理想を与えて、進むべき道を示してくれるだろう。