キリストの聖体(B年)

福音=マルコ14:12-16,22-26


「取りなさい。これはわたしの体である」(マルコ14:22

 

 自分の体を食べさせて人を助けるヒーローといえば、「あんぱんまん」を思い浮かべる。 広い砂漠の真中で、一人の旅人がお腹がすいて、今にも死にそうになっていました。そのとき、西の空から大きな鳥のようなものが、近づいてくるのが見えました。飛んできた不思議な人はいきなり旅人に言いました。「さあ、ぼくの顔を食べなさい。」旅人はびっくりして、「そんな恐ろしいことはできません。」と断りましたが、その人は「ぼくはあんぱんまんだ。いつもお腹のすいた人を助けるのだ。ぼくの顔はとびきりおいしい。さあ、早く!」とせきたてるのです。「ごめんなさい、ではちょっとだけ。」旅人は恐る恐るあんぱんまんの頭にかじりつきましたが、そのおいしいことはびっくりするぐらいでした。そして、ちょっとだけじゃなくて、たくさん食べました。あんぱんまんの顔は半分ぐらいになりました。旅人はすっかり元気になり、「ありがとう。あんぱんまん。おかげで助かりました。」とお礼を言いました。

「さようなら、がんばれよー。」あんぱんまんはさっと空中に飛び上がります。

 アンパンマンは、1968(昭和43)年、十二編の大人向け連作童話の一編としてPHPに掲載された。顔は普通の人間、お腹の空いた子どもにアンパンを届けるというストーリーだった。自分を犠牲にしても正義を行なうヒーロー像は後の「あんぱんまん」と同じで

ある。「あんぱんまん」は1973(昭和48)年、月刊絵本『キンダーおはなしえほん』10月号(フレーベル館)に掲載され、人気が出る。1976(昭和51)年春、ハードカバーの絵本『あんぱんまん』(フレーベル館)が出版された。その絵本のあとがきの中で、作者のやなせたかしさんは次のように書いています。

 

 子どもたちとおんなじに、ぼくもスーパーマンや仮面ものが大好きなのですが、いつもふしぎにおもうのは、大格闘しても着ているものが破れないし汚れない、だれのためにたたかっているのか、よくわからない、ということです。ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そしてそのためにかならず自分も深く傷つくものです。自らを裂いて渡されるイエス・キリストに従おうとするなら、「あんぱんまん」のように、ボロボロになる覚悟を必要とするだろう。