=四旬節(A年)の旧約聖書(第一朗読)=
もし四旬節が、荒れ野におけるイスラエルの40年の旅路を、私たちに再び体験させるものであるならば、この旅路は、光(真理)と愛を求める人類の長い歩みのしるしでもある。五つの主日の第一朗読は、毎年、<キリストの復活秘義>に向かう人類の進歩のいくつかの大きな段階を思い起こさせてくれる。こうして第一朗読は、次のような継続性を示している。
①原初の契約(第一主日)。
②アブラハムとの契約(第二主日)。
③モーセに導かれた神の民の歴史(第三主日)。
④約束の地における神の民(第四主日)。
⑤預言者(A年:エゼキエル/B年:エレミヤ/C年:イザヤ)のことば(第五主日)。
以上のように五つの第一朗読のテーマのもとに、A・B・C年それぞれに、関連する並行箇所が読まれ、救いの歴史におけるバビロン捕囚の出来事や帰還の時期における預言者の起こりのあらましを把握することができる。そして、これらのすべてのキー・ポイントを示すかのように、C年の第一主日には、イスラエルの信仰告白(初物をささげるときに毎年、繰り返されていた信仰告白)、すなわち、徐々にイスラエルの民を、自ら用意しておられる幸いに向かって導きながら、歴史の中でご自分を啓示される神への信仰告白が読まれる。
これらの第一朗読と福音との直接的なつながりは見いだせない。なぜなら、それらは独自の連続性を持っているからである。しかし、下に示すようないくつかの場合には、自然な関連性を示していることもある。
・第一主日(A年):楽園において人間が受けた誘惑と、荒れ野においてイエスが受けた誘惑。
・第三主日(A年):荒れ野で渇く民にモーセを通して与えられた水と、イエスがサマリアの女に話された救いの生きた水。
・第五主日(A年):死んでいる民を生き返らせる方は、ラザロをよみがえらせた方、命の主、同じ神である。
カトリック高蔵寺教会