「狭い戸口から入るように努めなさい」(ルカ13:24)
今日の福音は、「主よ、救われる者は少ないのでしょうか」という問いから始まる。しか
し、この問いに対してイエスは「狭い戸口から入るように努めなさい」と戒める。これは問いに対する直接の答えではない。イエスは人間が持つ「恐れ」からくる問いには、いつも決して真正面から答えない。むしろ、そうした問いの根底にある「恐れ」自体を「愛」に変えようとする。
もう一つの戒めは、「後の人で先になる者があり、先の人で後になる者もある」です。神の国に入れる人は、イスラエルの父祖たちと預言者、および異邦人である。父祖たちと預言者は、信仰の模範者として当然と言えようが、その模範とすべき点は神の選び-それは人の思いを越えたもの-に忠実であったことである。それはなによりも神の愛によるものである。異邦人の救いについては言うまでもなく、神の無償の愛による。つまり、救いは本質的に人の思いを越えたものであることが改めて確認される。
イエスは「救われるかどうか」という恐れ-それは神に対する信頼が欠けている、神との関係が十全でない状態-のうちに生きるのではなく、神への全き信頼のうちに生きるようにと呼びかける。
今日の福音の出来事が、エルサレムへの途上で起きたとされているのは偶然ではない。なぜなら、イエスのエルサレムへの道こそ、神への全き信頼を示すものだからだ。このイエスの歩まれる道を歩む人こそ「救われる者」なのだ。